Through the wheels
時代を超えて世界中で愛され、人々を魅了し続けている自転車。偉大な先人たちもその例外ではありません。彼らの自転車にまつわる名言やエピソードを読んだら、ついサドルに跨りたくなってしまうかも?
ジョン・F・ケネディ
“Nothing compares to the simple pleasure of a bike ride.”
「自転車に乗るというシンプルな楽しさに勝るものはない。」
自転車の魅力をなんとも簡潔に表現した、第35代アメリカ大統領ジョン・F・ケネディの名言。
サイクリングを純粋な喜びとする彼の姿は、妻のジャッキー、息子のジョンへと受け継がれています。
アルバート・アインシュタイン
“I thought of that while riding my bike.”
「私は自転車に乗りながら、それについて考えました。」
“それ”とは、相対性理論のこと。
現代ではGPSなどに用いられている物理理論を、なんと自転車での移動によって思いついたそう。世紀の大発見に、自転車が貢献していたのです。
彼はまた自転車を人生にたとえて「人生は自転車に乗るようなものだ。バランスを保ち続けるためには、走り続けなければいけない。」という格言を残しています。
アーサー・コナン・ドイル
“When the spirits are low, when the day appears dark, when work becomes monotonous, when hope hardly seems worth having, just mount a bicycle and go out for a spin down the road, without thought on anything but the ride you are taking.”
「気分が落ち込んでいるとき、暗く感じる日、仕事が単調に感じるとき、希望が持てないとき、ほかの事は何も考えずに自転車で出かけなさい。」
「シャーロック・ホームズ」シリーズで知られる小説家も、自転車を愛していた一人。
彼の人生においてサイクリングは特別で格別、力をくれる友のような存在だったのかもしれません。
スティーブ・ジョブズ
“What a computer is to me is the most remarkable tool that we have ever come up with. It’s the equivalent of a bicycle for our minds.”
「コンピューターは人類の知性にとっての自転車のようなもの」と語ったのは、稀代のイノベーター。彼は自転車が人を遠くへ運ぶように、コンピューターは人間の可能性を無限に広げてくれると信じて、世界を変えたのです。
生物の中でも、自力での移動能力が低いとされる人間が遠くまで移動することを可能にした自転車こそ、彼の発想の源でありモチベーションだったのでした。
夏目漱石
自身のロンドン留学時代にサイクリングを始めようと、自転車と彼を取り巻く人々との苦闘劇を「自転車日記」なるコミカルな短編小説にしてしまった夏目漱石。
「サイクリストに向っていっしょに散歩でもしましょうとはこれいかに」
私たちのよく知る文豪が、自転車と格闘しながら意地を張ったり悔しがるさまは人間味たっぷりで面白おかしくも、自転車に初めて乗れるようになった日の喜びを思い出させてくれます。
自転車というアート
私たちの生き方を豊かにし、ときに励ましや新たなアイデアを与えてくれる自転車は、特別な才能や資格がなくても、重心移動とハンドリング、ペダリングを合わせてまさしく一体となり、自分のペース、自分のリズムそのままに自由に乗りこなすことができます。
自転車とは、神秘的ではなくとも、とても創造的な乗りものなのです。
最後に、自転車業界に長年携わり「ジャスト・ライド」の著者でもあるグラント・ピーターセンの言葉を。
「自転車はまさに、世界を救うことができる”乗る芸術”です。」
Text: Sara Um