RAIN AND DANES
一年の半分近くが雨というデンマークに住む人々が、雨の日に楽しむヒュッゲなこと。
Sweet home
おうち時間
半年も続く長い冬に、一年の半分が雨という厳しい気候をサバイブするデンマークの人々は、おうち時間が大得意。
日照時間が短く日光を浴びる時間の少なさから、うつ病を患う人も少なくないデンマークですが、そのような厳しい環境下で暮らしながらも幸福度の高い国であり続けているのは、彼らが大切にしているヒュッゲが背景にあるといわれています。
そしてヒュッゲなおうち時間に欠かせないのが、照明やキャンドルなどの灯り。なんとキャンドルの年間消費量は一人あたり6kgにも及ぶそうで、柔らかな灯りは季節を問わずヒュッゲの中心です。落ち着いた照明とともに映画を観ながらくつろいだり、夜には友人を招いてキャンドルナイトやボードゲームナイトを開催して楽しんだりしています。
Coffee and pages
コーヒーを片手に
居心地が良く雰囲気のあるカフェが街中にあるコペンハーゲンの街。とくに書店とカフェが一つになったブックカフェは、デンマーク人たちにとって雨の日を過ごすには最高のスポットです。
ゆっくりと目で文字を追いながら香るコーヒーのアロマに、心地よい雨の音。カフェでは一人でリラックスした雰囲気を味わうことができるだけでなく、討論会といったイベントやローカルの憩い場としても利用されます。
図書館のようにどこか落ち着く空間でケーキと会話を楽しむマダムたち、勉強や作業に勤しむ学生、編み物をする人、カードゲームを楽しむグループなど、ここは思い思いのヒュッゲな時間を満喫する光景に溢れています。
Value over time
時を愛しむ
芸術と歴史に重きを置くデンマークには、世界でも有数の博物館やアートミュージアムが存在します。
時の流れを意識し今に感謝することも、ヒュッゲな考え方の一つ。デンマークの豊かな歴史を感じたり、アンティークのコレクションを眺めたりと、デンマーク人にとっては雨風から少し離れてヒュッゲな時間を過ごす絶好のシチュエーションです。
また、物を大切に扱うことや手作りの物も彼らにとってはヒュッゲなこと。街のカルチャーセンターで陶芸の絵付けに挑戦したり、美術館のクリエイティブなワークショップに参加するなど、創作活動も積極的に楽しみます。
Make it lovely
雨も日常の彩り
雨の日が多いゆえに、大半は雨でも気にせず外出するデンマークの人々。傘をささずに歩くことも多く、晴れの日と変わらず自転車での移動が基本のため、傘よりもレインコートが浸透しているとも言われるほどです。
そんな彼らは、散歩に出ると1時間は帰って来ないと喩えられるくらい散歩が大好き。快適なレインウェアやシューズをお供に、水たまりに反射するカラフルな家々を眺めたり公園をゆったりと散策することは、デンマーク人にとって日常の中の楽しみなのです。
コペンハーゲンにカフェが多い背景には、雨宿りついでにゆっくりしたり友人とお喋りができる場所だから、という理由もあるのだそう。突然の雨をも満喫してしまおうという、なんともヒュッゲな発想です。
グレーの空はお構いなしに、恵みの雨の日ならではの楽しみを見つけてみましょう。
Text: Sara Um