MATE GO+ Urban Parents (2)
コペンハーゲンの朝は、自転車から始まる。デンマークの家族文化と自転車のある暮らし。
都市型子育て
夫婦共働きが当たり前となるなか、時間に追われる日常は都市部だけに限らず。忙しさを肌で感じる日々は現代のファミリーライフとも言うべき、全国的な現象。とあれば、子育ては?
都市生活における子育てには、その移動スタイルに特徴があります。現代都市の多くは、住宅地、オフィス街、商業エリアといったように機能ごとに区切ることで生産性を高めるような設計が主である反面、生活が一か所で完結しないケースは珍しくなく、複数の拠点を跨ぎながら「住む」「働く」「買う」をつなぐ毎日。
地価や用地の制約により、保育園が住宅街から駅前やオフィス近隣にも分散する都市部では、そこへ「預ける」拠点が組み込まれます。結果として、送り・通勤・迎え・帰宅という座標を結ぶような連続移動型の一日に。都市で子どもを育てるとは、移動によって生活動線を結ぶ暮らしでもあるのです。
自転車がつなぐデンマークの都市生活
「自転車の街」として語られることが多い北欧のビッグシティ・コペンハーゲンもまた、職住分離型の近代都市。都心部がコンパクトなため、周辺エリアの住宅地との往復が多い点も共通しています。
女性就業率の高いデンマークは共働きが前提の社会で、保育の利用率も高め。送迎と通勤の組み合わせは日常風景です。道路整備の功績もあれど、通勤・通学の約半数が通勤・通学の約半数が利用するまでの基幹交通として扱われており、子ども乗せ自転車は定番のツール。そして生活インフラであると同時に、カルチャーでもあるのです。
気になる夫婦の分担
デンマークでは男女ともにフルタイムで仕事をする家庭がスタンダードなため「一方が多く働き、一方が家庭の切り盛りをする」ことはとてもレア。ジェンダーや職務、役職に関わらず、家事と育児は半々でないと回らないのが現実です。当然、男性の育児参加率は高く、送り迎えに来るパパとママの割合も同じくらい。朝はパパが送って夕方はママが迎えにいく、あるいは週単位で交代するなど工夫してシェアしています。
通勤以外では、ジョギング用ベビーカーなるものを押しながら公園を走るパパの姿も見られるそうで、子どもの世話をしながらジョギングもするバイタリティはもちろん、何かを優先するために他のものを諦めるのではなく、むしろ子育ての中にも自分時間を組み込み、調和させていく姿勢には興味深いものがあります。
生活に溶けこむ家族での移動
午前7:00、子ども乗せ自転車が連なって走るさまは日本の都市部にも重なる朝の風景。自転車のタイプはスポーツ系からカーゴバイクまで様々、保育園へ向かう姿が街中のあちこちで見られます。
コペンハーゲンでは、親子で自転車に乗る光景がごく普通の日常。家族での自転車利用は毎日の行き帰りのほか、公園や遊び場までのアクセス、週末の遠出など、あらゆるシーンで家族のリズムを作っています。実際にその賑わいは、人口60万人前後の市内で、一日に数十万台が稼働するといわれるほど。自転車が生活の一部として家族の時間に存在していることがうかがえます。幼い頃より交通と自転車に親しむデンマークの子どもたちは、ときには乗せられ、ときには自分で走りながら、自転車の上から家族で眺める景色を共有しています。
子ども乗せ自転車は、スタイルへ
自転車は趣味や健康のための道具を超えて、移動という生活の骨格、家族の文化の一つをなしています。都市生活には機能的な移動が欠かせないものとなり、子ども乗せ自転車は、もはや都市生活のスタイル表現そのもの。
遠く離れた北欧の風景ではあるけれど、都市に暮らす家族のかたちは思っているよりも世界でつながっていることを私たちは知ります。効率以上の“らしさ”と心地よさ。日常の走りに、ささやかなコペンハーゲンを感じてみてください。いつもの景色がすこし、変わって見えるかもしれません。
Text: Sara Um