CULTURE

2024.10.31

FALL IN LOVE WITH BIKE

自由への冒険、スポーツでの名勝負、そして芸術のインスピレーション。自転車との触れ合いが広げた世界。

FALL IN LOVE WITH BIKE

Content

読書と自転車

スポーツと自転車

芸術と自転車

感性を刺激しよう

読書と自転車

過ごしやすい気候と長い夜のゆったりとした時間とが、古くから読書に適していると言われる季節、秋。
交通手段としてはもちろん、自転車は様々な文化において重要な役割を果たしてきました。それは文学の世界も例に漏れません。

時には自由と冒険の象徴として。あるいは主人公の成長や自立を促すツールとしても多くの作品で題材にされ、シャーロック・ホームズの物語では登場人物の関係性を演出するメタファーとしても登場しました。

フランスの作家であり詩人でもあるポール・フルネルは、自転車を「文学的な乗り物であり、思考を巡らせるのにも物書きにとっても良い仕事場所である」とし、アメリカの小説家ウィリアム・サローヤンは、自転車に乗ることで自分の執筆スタイルを見つけたと語っています。

The Bicycle Rider in Beverly Hills by William Saroyan

 

そして自転車に縁があるのは愛筆家に限らず。
自転車の出現は特に都市部での移動の自由度を高め、人々が新しい知識や文化にアクセスする手段となって図書館や書店との距離を縮めたことで、読書文化の拡大が進みました。

このように自転車は、物理的な移動と同時に私たちの精神世界の冒険をも豊かにしています。

スポーツと自転車

自転車が新たな可能性を切り開いたのは、スポーツの世界も同じ。

ツール・ド・フランスをはじめとする長距離レースに代表される自転車競技は、選手たちの持久力や戦術が試される過酷な競技として、他の種目とは異なる挑戦とドラマを提供しつづけています。

さらに、サイクリングは自転車一つさえあれば場所も選ばず、気軽に取り入れられる運動として人々の健康意識をシフトさせました。スポーツを趣味としている人に限らず広く愛され、運動を身近なものに感じさせることができたのは、競技スポーツと大衆スポーツのどちらとしても普及している自転車ならではの功績かもしれません。

競技人口が増加するにつれてサイクリストのコミュニティも誕生していき、自転車は人々の社会的なつながりをも充実させています。

Image: Shutterstock

芸術と自転車

スポーツやレジャーの領域を超えて、サイクリングをクリエイティブな表現のインスピレーション源として活用する人たちもいます。

自転車ブーム真っ只中、19世紀の画家たちの余暇がサイクリングに取って代わられたように、自転車は作品のモチーフや一つのテーマとなり、自由な移動の象徴として描写されました。その手段は現代においても、アーティストがメッセージを伝える記号としてインスタレーションやパフォーマンスアートにもみることができます。

多くの著名人をも虜にした自転車は、音楽界にも存在感を発揮。往年のロック・スターたちがプライベートでサイクリングに夢中になっている姿には親近感さえ覚えます。

伝説的な人気を誇ったバンド、QUEENの代表曲「バイシクル・レース」は作曲活動中に遭遇したツール・ド・フランスに着想を得たのだそう。

Ai Weiwei, Very Yao, 2009, 150 bicycles © Ai Weiwei

感性を刺激しよう

「読書の秋」「スポーツの秋」「芸術の秋」と言われるように、秋は心と体を豊かにしてくれる季節。抜けるような青空と、ひやり肌に触れる澄んだ秋風に誘われて自転車に跨がれば、感動と爽快感、そしてインスピレーション、すべてを感じることができるかもしれません。

 

 

Text: Sara Um

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読書と自転車

スポーツと自転車

芸術と自転車

感性を刺激しよう

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