Eyes on Copenhagen (5)
夜がいちばん長くなる12月中旬のデンマークを温かく照らすのは、賑わうクリスマスマーケットや、煌びやかなデコレーションで華やぐ街並み。デンマーク人にとって一年で最も大切なお祝い、クリスマスの3つの楽しみ。
Advent
アドベント
アドベントとはキリスト降誕を待ち望む期間のことで、ヨーロッパの多くの国ではクリスマスイブまでの約3〜4週間をかけて準備をしながら、クリスマス気分を楽しみます。デンマーク人のクリスマスは、早い年では11月から始まるのです。
街や家々は色とりどりのライトで飾られ、ベーカリーにはデンマーク最古のクリスマススイーツ「クライナー」やジンジャーブレッドクッキーなど、季節のお菓子がいっぱい。クリスマス専用のビールや、グロッグと呼ばれるブランデーとドライフルーツを混ぜた温かいワインも登場します。
カウントダウンを盛り上げてくれる伝統的なアイテム「アドベントカレンダー」もお忘れなく。これは1から24までの数字がついた小窓や引き出しにお菓子やプレゼントが入っている置き型のカレンダーで、クリスマスまで毎日1つずつ開けて中身を楽しむ仕掛け。
現在では日本でも種々のアドベントカレンダーが販売されていますが、デンマーク人のほとんどが用意するとも言われるお気に入りは、やはりヒュッゲとインテリアの主役とも言えるキャンドルにちなんだもの。数字付きの巨大なキャンドルに毎日、火を灯してクリスマスを待ちわびるのです。
Great party, Great food
美味しいパーティー
なんといってもホリデーに欠かせないのは、テーブルを飾る美味しい料理たち。カフェや公園の芝生、ホームパーティーなど、一年中集まることが大好きなデンマークの人々がこの時期に大切にしているのは、クリスマスイブ当日のディナーと11月から12月に行われるパーティー、”クリスマスランチ”です。
家族と一緒に過ごすことが一般的なクリスマスイブのディナーは、ゆったりと会話を楽しみながら数時間をかけて毎年の家庭の味を味わう、寛ぎのとき。クリスピーなローストポークや鴨肉に、キャラメリゼしたジャガイモと赤キャベツのピクルスが定番の付け合わせです。
クリスマスシーズンの伝統的なデザート「リゼラモン」はチェリーソースをかけたライスプディングで、取り分けられた中にアーモンドの実が入っていた人は、賞品や追加のプレゼントをもらえるというお楽しみつき。
一方で、“クリスマスランチ”とは、ランチタイムから長ければ夜まで食べ続ける(!)、いわばデンマーク流・忘年会。家族や友人同士はもちろん、多くの企業が社員のためにこのクリスマスパーティーを準備し、国民食のオープンサンドやクリスマスメニュー、ワインや風味豊かなスピリッツを片手にコンサートを楽しんだり、プレゼント交換のゲームに興じたりと様々です。
Fir tree picking
モミの木狩り
耳慣れないクリスマスアクティビティ「モミの木狩り」とは、実は世界最大のクリスマスツリー生産国であるデンマークで人気の伝統行事の一つ。気に入ったサイズや種類のツリーを選んで買うことができるうえ、顔を真っ赤にしながら木を切り倒し、グリーンが香りよい、土のついたモミの木を運んでいく体験は、自然との触れ合いを大切にする彼らの毎年の楽しみです。
コペンハーゲンでは、わざわざ貸切列車に乗って”モミの木農園“や個人所有の林などへ出かけることもあるそう。持って帰ってきたツリーは、マーケットで手に入れたオーナメントやキャンドル、デンマーク国旗、ハンドメイドの飾りなどで仕上げます。
世界中でお祝いムードに溢れるフェスティブなシーズン、その楽しみ方は様々です。肩の力を抜いたら、自分が楽しいと感じられたり素直に喜びを表現できる、思い思いのクリスマスを見つけてみましょう。
最後に、デンマーク語でクリスマスの挨拶を。
God Jul (ゴッユール)、素敵なクリスマスを過ごしてください。
Text: Sara Um