CULTURE

2023.12.17

Denmark, A Cultural Powerhouse #4

世間は師走。年末というゴールテープまで一直線に走るビジネスマンを横目に、学生たちは受験戦争や就職活動と荒波に押されるシーズン。閉塞感やプレッシャーから解放されて希望を見出せる社会とはどんな姿か、に思いを馳せつつ、世界がお手本にするデンマークの教育事情に目を向けてみよう。

Denmark, A Cultural Powerhouse #4

Content

The happiest individuals
幸せは“個”育てから

It is OURS
「あなたの子どもは、あなたのものではない」

Forest Kindergarten
森の幼稚園

All as One
皆でひとつ

The happiest individuals
幸せは“個”育てから

世界でいちばん幸せな国、デンマーク。国民全体の幸福度が高いということは、個々の満足度が高いということ。経済格差を埋める仕組みなどを通して平等な社会を目指すデンマークでは、所得にかかわらず誰でも高等教育へアクセスができ、自分がなりたいものを目指すハードルが低くされています。

個人のペースに合わせた進級体制があるのも、マイペースなカルチャーをそのまま体現しているかのよう。
そういったコンテクストに囲まれて成長していく子どもたちは、世界一幸せな国民として”育って”いる最中とも言えます。Photo / Courtesy of Endah Wijayanti

It is OURS
「あなたの子どもは、あなたのものではない」

デンマークにはこのような言葉があり、「子どもは親の所有物ではなく”国家の財産”なので、社会全体で子どもを育てる」という教育観を表現しています。
この理念は政策にも見られ、公立の小学校からなんと大学まで、学費は100%国や自治体が負担。学びたい人は経済状況を心配せず、勉強に打ち込むことができる環境です。

また、一定の年齢になったら進学という考え方はなく「0年生」や「ギャップイヤー」と呼ばれる、徐々に次のステージに慣らしていく余白期間を設けているのも特徴。デンマークでは2〜3歳差の同級生がいることがノーマルだと知ると、年功序列や同年代との足並みを気にしやすい私たちには、ハッとするものがあるはず。

Forest Kindergarten
森の幼稚園

北欧を中心に広がっている、森の幼稚園というデンマーク発祥の幼児教育があります。これは文字通り森の中で遊ぶ自然保育で、大人が指導したり助けたりせずに子どもの自主性に任せるというものです。持ち物の管理さえ子どもたち自身で行います。

壁や屋根などの仕切りも、おもちゃもない大自然の下で、危機管理能力や協調性、クリエイティビティを養いながら自立していく子どもたち。

日本のことわざにもあるように、人格は3歳までに形成されると言われますが、幼い頃から自分で考えて自分で責任を取る、という教育方針は、失敗や周囲の反応を恐れて”正解”を探すことからの解放、のびのびと個性を発揮する豊かさを励ましています。

All as One
皆でひとつ

生まれたときから社会の一員として大切に扱われ、一人一人にそのような自覚がナチュラルに根付いているデンマークでは、電気料金の検針も自己申告制で成り立ってしまうのだとか。
知れば知るほど、彼らを形づくっているものは何だろう?と疑問や憧れを抱いてしまうデンマークカルチャー。高負担の税制や根本的な文脈は全く異なるけれど、国が一丸となれる信頼関係はぜひとも見習いたいもの。

自分のペースで頑張ることを受け入れる社会と、その社会へ還元するマインドを持つ”個”の存在。それらが二人三脚で進むことを理解しているからこそ、お互いの責任を果たすことによって持続可能な”幸せの循環システム”が確立していくのかもしれません。

 

 

MATE.BIKEは、100%再生可能エネルギーの使用、循環型社会の実現など、人と地球の両方にとってより良い選択ができる社会を目指し、熱意を持った仲間や、課題の克服に取り組む有能なスペシャリストたちと共に、e-BIKEというカテゴリーの垣根を超えた進化を続けています。

 

 

Text: Sara Um

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The happiest individuals
幸せは“個”育てから

It is OURS
「あなたの子どもは、あなたのものではない」

Forest Kindergarten
森の幼稚園

All as One
皆でひとつ

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