DANES ON BIKES
デンマーク人の”ベストパートナー”自転車が乗せているものとは。
Day to Day
日常
デンマークでは晴れの日も雨の日も、雪の中でさえ跨る人を見かけるほど主要な交通手段となっている自転車。国民の10人中9人が所有し、平均して1日1.4km、全移動の15%を占めており、通勤や通学、買い物、家族での外出に至るまであらゆるシーンで活躍しています。
コペンハーゲンのような大都市では自動車を使うよりも効率的なことが多く、駐車場探しや長い渋滞、電車やバスの遅延から解放してくれる自転車は、デンマーク人の毎日の頼もしい相棒となっています。
Lifestyle
生活
世界初の自転車都市として認定され、2021年には「サイクリストにとって最高の都市」「世界で最も住みやすい都市」とも称されたコペンハーゲンを筆頭に、都市部から郊外まで広範囲に整備されたインフラと高い交通リテラシーによって、自転車天国とも呼ばれるようになったデンマーク。
人々はどこへ行くにも自転車を走らせ、終電を気にせず友人宅で時間を過ごしたり、電車やメトロ、さらには水上バスにまで自転車を持ち込んで遠出のサイクリングを楽しむそう。自転車は彼らのDNAであり、自転車を中心に都市を設計するほどに生活の中核となっています。
A Man's History
"ゆりかごから墓場まで"
デンマークでは、自転車は人生のあらゆる瞬間に寄り添う存在です。妊婦が陣痛室に向かうときも例外ではなく、デンマーク人はお腹の中にいる時から自転車に運ばれ、6歳頃からは自転車を乗りこなして学校へ通います。歳を重ねて自分で漕ぐことがなくなってからも老人ホームでは人力車に揺られるように景色を楽しみ、葬儀では特注の自転車で棺を運ぶことさえあるそう。まさしく人生の始まりから終わりまでを自転車と共にしています。
子供から高齢者、パパやママ、学生もビジネスマンも、さらには国会議員や王室の人々まで誰もが利用する自転車。その自由な移動は、社会的地位や経済状況に関係なく平等で安全なデンマーク社会の象徴であり、ただの移動手段を超えて深く根付いた、彼らの人生そのものと言えそうです。
Future
その先
まるで図書館で本を貸し出す感覚で、自転車さえも気軽に貸し出されるのがデンマーク。
軽量タイプから折りたたみ式、電動アシスト自転車などさまざまな自転車を試乗したり無料でレンタルすることができ、それぞれ自分に最も合うものを購入前に確認しているとのこと。
誰もが認める自転車愛が高じてか、さらには「サイクリング大使館」なるものまで。サイクリングに関する何十年にわたる知識とノウハウを世界中に広めるため、そして自転車がSDGsにどのように貢献できるかを研究したり、他国に向けたサイクリング文化の促進やインフラ整備を支援する活動などを展開しています。
特別なライセンスは必要なく誰もが気軽に利用できるそのシンプルさと日常性、一生を共にしたその先の未来を託す存在。彼らに言わせてみれば、目的が何であれ「自転車こそが答え」なのかもしれません。
Text: Sara Um