BIKES AND URBAN CULTURE: MUSIC
時代や都市を超えて人々を魅了し、影響を与えてきた自転車。カルチャーとバイシクル、音楽の回。
As a statement
一度聴いたら忘れられない”Bicycle”の歌い出し、”I want to ride my bicycle”というシンプルで力強いフレーズ。
ツール・ド・フランス観戦をきっかけに制作されたと言われる、Queenの代表曲の一つ「Bicycle Race」は、自転車を”自由”のモチーフとして語っています。
競技や移動という枠を超えて、走ることの楽しさを全肯定するように響く一曲は、今も多くの人に愛されています。

Queen, Bicycle Race UK 7″ vinyl, 1978 / EMI
As an inspiration
テクノポップの元祖とも言われるKraftwerkもまた、自転車から大きなインスピレーションを受けたアーティストです。
ペダリングの荒々しい呼吸音を交えた「Tour de France」をはじめ、その影響は創作にとどまらず。ワールドツアーに向けた体力作りから発展して、一日に200kmも走っていた時期があるとか。
その後のグループ活動にも変化をもたらしたといい、サイクリングが彼らの音楽観に与えたインパクトを公言しています。

Kraftwerk, Tour De France Soundtracks Cover Art / EMI
As a style
世界的スターが一堂に会するメットガラのレッドカーペットへ、自転車とともに現れたTalking Headsのフロントマン。デイヴィット・バーンは、長年にわたり自転車移動のスタイルを続けてきたことで知られます。
日常の移動はもちろん、ツアー先にも折りたたみ自転車を持ち込んで走る。その体験をまとめた「Bicycle Diaries」は、建築や政治、音楽、人々の空気感までを含めて「街をどう感じるか」を記録した、いわばカルチャー観察記。
単なる移動手段としてではなく、都市カルチャーを横断する視点、カルチャーを”回遊”させる存在として自転車を表現しています。

David Byrne rode his bicycle to the Met Gala by Mike Coppola / Getty Images
As a movement
「自転車が最も速い移動手段だった」と言われる1970〜80年代ニューヨークのナイトシーンでは、ミュージシャンが自転車で移動することも珍しくなかったそう。
クラブからクラブへ、ライブハウスからスタジオへ。音楽を求めて街を行き来し、異なるカルチャーが混ざり合う様は、当時の音楽シーンの形そのものと言えそうです。
かつて音楽は、アルゴリズムではなく移動によって出会うものだったことを思い出しながら、小さなレコードショップを巡るように。
“偶然”と相性のいい自転車で、新しい音楽を探しにいきましょう。
Text: Sara Um